新型アウディTT (Audi TT TTS )に試乗しました(後編)

新型アウディTTの試乗メモの後編です。これで最後です。実際に走らせた感じなどを書いていきます。

新型アウディTT (Audi TT TTS )に試乗しました(前編)

新型アウディTT (Audi TT TTS )に試乗しました(中編) 

全面液晶のコックピット

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センタコンソールにあるボタンを押してエンジンスタートです。エンジンスタートすると真っ暗だったコックピットにタコメーター、速度計に加えてナビが表示されます。

先進的です。液晶を使ったコックピットは他メーカーも積極的に採用していると思いますし、これから主流になっていくだろうと思います。

表示する情報を柔軟に変えることができるし、副次的な恩恵として前回書いたように革新的なセンタコンソールまわりのデザインを実現することもできます。ネガティブな要素は全くありません。

が、、実は個人的にはどうも好きになれません。速度計とタコメーターぐらいはアナログ機器だったらなあと思ってしまうのです。とはいえ、これはiphoneのボタンが押しにくいからガラケーが良いと言ってるのに近くて、ナンセンスなのだろうなとは思います。そのうち感覚が慣れていくのでしょう。

 

エンジン音など

エンジンスタート時の音は控えめです。綺麗な洗練された音がします。粗野で機械的な感じでは無く、洗練されたアーバンな感じのエンジン音がやや遠くで聞こえる感じです。ボクスターSはエンジンをコールドスタートさせた時は、かなり派手な音がして、メカニカルな存在感が大胆に伝わってくるので、それに比べると大人しい印象です。

大人しいというと迫力不足な印象に聞こえてしまうかもしれませんが、そうではなく洗練されて都会的な感じなのです。TTSに比べるとボクスターSのエンジン音はかなり荒々しいです。どちらが良い悪いではなく、味付けが全く違うということですね。

走り出してもエンジン音はあくまでも都会的です。オシャレでスノッブです。モードをダイナミックにして2速で回転数を少しあげると、洗練された心地よいエンジン音が車内に響きます。求められているエンジン音をすっと差し出される感じです。お客様がお求めのエンジン音はコチラですね、という感じでとにかくスマートです。

前回試乗したアルファロメオ4Cも4気筒ターボエンジンで、TTSと同様に聞かせるエンジン音を作り込んでいました。両者とも4気筒で、高音を聞かせるといより低めのドッシリした音です。そういう共通点はありつつも、両者のエンジン音はまったく違います。4Cは防音がないので、エンジン音だけが問題ではないのでしょうが、室内に響く音は完全に違う方向性を目指しています。

技術と手間を惜しまず突っ込んだシェフのスペシャリがTTSなら、最高の素材をそのまま漁港で食べる蟹の釜揚げが4Cという感じです。女性との初デートに乗っていく車を選べと言われたら、私なら間違いなくアルファ4CではなくアウディTTを選びます。初デートでは寒風吹き荒ぶ漁港で蟹の釜揚げを食べるべきではないと思うからです。 

 

走った感じ 

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交通量の多い通りをごく近距離走っただけの感想です。ドライブモードは色々と準備されていて「オート」が標準のようです。今回は両端を見てみようと、コンフォートとダイナミックを中心に試しました。

まず驚くのはハンドル、ブレーキ、アクセルの軽さです。どれもボクスターに比べて羽根のような軽さです。ハンドルはかなり軽いと感じたポルシェパナメーラのような軽さでした。

ブレーキもフワリと軽くボクスターとの差が大きいです。アクセルは軽いのと、最初の数センチに余裕というか遊びがあるような印象が残っています。ダイナミックだとよりシビアになるのかもしれませんが、基本的に操作にシビアな感じは無く余裕を持って運転できる印象でした。

コンフォートは非常にコンフォートです。乗り心地は極めてよく、自分がスポーツタイプのクルマに乗っていることを忘れてしまいます。

信号でアイドリングストップするあたりや、アイドリングストップからの復帰の感じなどもボクスターに似ている感じがします。パナメーラの試乗で感じた魔法のようなシームレス感はないですが十分に快適です。

モードをダイナミックにすると、アイドリング時の回転数もあがりエンジン音がぐっと車内に入ってくるようになります。このあたりの演出はボクスターに似ている気がします。

アクセルを踏むと低音の心地よいエンジン音が聞こえます。踏めば気持ちよく回ります。2速4000回転ちょいまで回しましたが、エレガントなエンジン音が非常に心地よかったです。苦しげな感じが一切無い涼しい顔をしたエンジン音です。

コンフォートとダイナミックを切り替えると、回転数、シフトアップのタイミング、ステアリングのシビアさなど諸々の設定が変わるようです。ダイナミックにすることでスポーティなテイストがグッと強まりますが、粗野な感じはしません。あくまでエレガントにスポーツです。動き回っても汗ひとつかかない主人公みたいな感じです。

面白いのはカスタムというモードです。今回試すことはできませんでしたが、エンジン音だけダイナミック、シフトタイミングはコンフォートみたいに、色々と自分で設定を作成できる機能らしいのです。自分好みに設定できるのはかなり魅力的です。

新型911もターボエンジン導入に伴って、ターボまわりのタイミングをカスタム設定するような機能が追加されるという噂がありました。ひょっとすると、ドライブモードはカスタム設定で、ドライバー一人一人の好みにピタリと合わせていくのが今後のトレンドになるのかもしれません。

今回は幸運にも発売されたばかりのAudiTTに試乗する機会に恵まれました。また何か試乗する機会があれば記録を残したいと思います。