パナメーラS・ハイブリッドに試乗しました 後編

高価で豪華なパナメーラに試乗した際の記録の後編です。内装やオプションに関してはは前編で書いたので、後編では運転した印象を書きます。

  • 走り
    走りについて語れるほどの知識も経験もないので、素人の印象です。乗った最初の印象としてはスポーツというよりはラグジュアリーという感じです。
    普段は軽快さがウリのボクスターに乗っているので、クルマが指向している性格が全くことなるがすぐに分かります。高級サルーンというカテゴリの中では抜群にスポーティーだと思うのですが、ライトスポーツ志向のボクスターに比べると明らかにどっした重厚感のある乗り味です。
    スポーツクロノをONにしてアクセルを少し強めに踏み込むとグイグイと加速しますが、その加速感はあくまでもボディサイズからくる重厚感な加速です。メルセデスのSクラス、BMW7シリーズ(いずれも乗ったことないですが)でイメージされる加速感といえばいいでしょうか。

  • ステアリング
    ステアリングは驚くほど軽かったです。片手回せそうな軽さで取り回しが非常に楽ですね。常に軽いわけではなく、速度感応式のようでスピードがあがるとステアリングも重たくなります。普段はボクスターのステアリングに慣れているので、違和感を感じましたが、慣れればこちらの方が使い勝手が良いだろうと感じました。車庫入れの時に重たいステアリングをクルクルしたいと思う人は多くはないと思うからです。

  • ハイブリッド
    タクシーの後席ぐらいしかハイブリッド経験がないので新鮮でした。エンジン音は静かです。スポクロをONにして踏み込んでも静かです。ボクスターSのエンジン音に慣れている身としてはやや物足りない感じですが、そこはもうクルマが狙っている方向性の違いということなのだと思います。
    ハイブリッド車特有のエンジンのON/OFF違和感はほとんどありませんでした。ボクスターアイドリングストップもON/OFFの違和感がないと思っていましたが、パナメーラの違和感のなさはボクスターを凌駕しています。これを体験してしまうとボクスターのエンジンON/OFFもよりスムーズにシームレスにしていくことも出来るんじゃないかと思ってしまいます。
    写真は2速で20Kmを指していますがエンジン回転数は0(Ready)になっています。もう少しスピードが出るとタコメーターが1500回転ぐらいまで跳ね上がります。タコメーターを見てないとエンジンスタートが分からない気がするレベルです。

    パナメーラ ハイブリッド

    もともとエンジン音が静かなのもあり、エンジンOFFがまず抜群にスムーズです。ボクスターはエンジンOFFすると急に静かになるのでハッキリと差が感じられるのですが、パナメーラはエンジン音の静かさと低速域ではモーターが効いてることもあって、いつの間にかエンジンが停止しています。
    エンジンスタートは出足をモーターで補い、ある程度速度が載ったところでエンジンがONになります。エンジンスタートするタイミングでは一定のロードノイズなどもあるせいか気づかない間にエンジンスタートしていて驚きます。意識しないとエンジンスタートをつかめないんではないでしょうか。
    最近のハイブリッドというのはこういうものなのか、パナメーラがよく出来ているのか定かではないですが、エンジンのON/OFFやモーターとの動力の切り替えなどがとてもスムーズだと感じました。

 

とても高価なクルマパナメーラSハイブリッドの試乗でしたが、ボクスターとは違う領域で戦うことを目指して作られたクルマだという印象が強く残りました。ボクスターとの距離感でいうと、前回試乗したマカンとの方がボクスターとは距離が近いと感じました。値段も近いですしね。

マカンは実際に乗ってみると外観サイズよりも小さく取り回しやすくスポーティーな印象がありました。パナメーラは乗ってみてもやはり巨大な印象です。運転席から後ろを見たときにリアウインドが遙か彼方に見えました。車線変更の時などは、なんだかとても長いクルマを運転している気分になり気を使いました。加速感なども含めて、表現は難しのですが、いわゆる押し出しが強いクルマに乗っている感覚があります。

気になって調べたところ、ボクスターの全長は4380mm、マカンは4680mmですが、パナメーラはなんと5015mmです。大きく感じたはずです。ちなみにカイエンでも4855mmで、なんとカイエンよりも大きいのです。これには驚きました。さらに言えば全幅もパナメーラはカイエンより5mm大きいです。高さを除けばパナメーラはポルシェの中で最大のモデルだったわけですね。

カタログ上の大きさを改めてみると、パナメーラから感じた重厚感とラグジュアリー感にも納得です。スポーツカーメーカーが作る超弩級の高級サルーンだったわけですから。そのように考えると、あのサイズとあのラグジュアリー感でもって、アクセルを踏むとストレスなく加速していくのは凄いことなのだと改めて認識しました。

普段の乗っているボクスターはライトスポーツのエントリーモデル、今回試乗の機会のあったパナメーラはEV搭載の高級スポーツサルーン競合車ということで、ポルシェの中でも性格が大きく異る車種に乗れたのは興味深い経験でした。